固定資産税と災害
年始から大規模な災害が起きた今年は、3年に一度改定される固定資産税の基準年度の年でもありました。ということは災害に係る評価の下落が価格に即時反映されるのかというと、土地に関しては基準年度に採用する路線価(土地の評価の基準となる価格)については、価格調査基準日が前年の1月1日になるため、この時点では反映することができません。
ただし災害による損失というのは当然に考慮されますので、この場合は災害の状況に応じて価格の補正や減免を行ったりという手順になります。
また、固定資産税は1月1日の現状による課税のため、今回のように1月1日に生じた災害の場合はどの時点で判断されるかというのが気になるところでしたが、これについては総務省が令和6年1月16日に通知を出しています。
令和6年能登半島地震により被害を受けた土地及び家屋に係る令和6基準年度向け評価等について
この通知の中で「1月1日中に滅失した家屋に対しては課税されないものと解されます」と明記されましたので、今回の災害当日に例えば倒壊してしまった場合については家屋について固定資産税はかからないことになるでしょう。
ではこの場合、例えば翌日1月2日に火災により焼失してしてしまった家屋についてはどうなるかというと、いったん課税対象となったうえでの減免(最大全額)という手続きが正式なものになります。
ただし今回は大規模な災害で、かつ1月1日に倒壊していたのか1月2日になってから倒壊していたのかについての判断が難しい事例もあるかと思います。そのような場合は現場の運用として、納税者有利の判断がされていくのではないかなと思います。
固定資産税については地方税ですので、総務省が国として統一した通知(助言)を出したとしても、各市区町村が個別事情によってそれぞれに決めていることもあります。それ以外に今回のような大規模な災害については、状況と現場の負担も考慮して、地域指定で一律適用されるものもあります。
災害発生からもうすぐ一ヶ月が経とうとする現在は、現地で罹災証明書発行のために市町村の担当者さんが走り回っておられる時期ですね。各地からも応援が入りますが、こういう災害に関しては、市町村の担当者も被災者でいらっしゃいますし、どうか現地の状況が一刻も早く落ち着くようにと願います。
コメントを残す