定額減税その後
6月になり実際に現場で定額減税の給与計算をしていたこの一ヶ月でしたが、各市区町村から届く特別徴収住民税の通知書を給与ソフトに登録するために見ていると、やはり今回の制度で一番負担が大きかったのは市区町村だなと思いました。ニュースではシステムの問題で大規模なミスがあったなどという報道もありましたが、同業者さん間の話題を聞いていても細々したミスは多かったようです。
各個人向けの住民税通知書は、6月の給与明細に同封されていることが多いと思いますが、今月に関しては私の方からも「通知書の中身を見て、定額減税の適用状況などに誤りがないか確認してみてくださいね」とアナウンスをするようにしていました。
例年であればそこまで言わないこともあるのですが、今年度は殊更にミスが想定される状況ですので、なるべく案内できた方が良いのだろうと思います。
私はこの業界で20年以上仕事をしているため、少し昔話をします。
特別徴収住民税の各人宛通知書は、昔はフルオープンで給与計算担当者に各人の内容が丸見えでした。そこで副業チェックなどしている会社もあったようですね。多少の知識さえあれば、従業員が自分で行った確定申告による所得の種類も控除内容も全てが分かってしまう通知書でしたので、今考えると信じられない時代とも言えるのかもしれません。
今はプライバシー情報ということで、各人宛通知書は基本的に封をされて本人開封(というかペリペリ剥がす)方式になりましたので、私たちの立場でもご本人に確認いただかないと、住民税の計算において定額減税が正しく適用されているかどうかは判断できません。給与計算担当者が分かるのは、年額と月々の控除額だけですので、同程度の給与と家族構成の従業員で大きく年額が違うと、あれ?と思うくらいはあるのですが…。
ということで、住民税の通知書を貰ったけど、まだ見ていなかったorちゃんと内容チェックまでしてなかったという方がおられましたら、是非見てみてください。たいてい欄外に「定額減税額 ○○円」というような感じで印字されていると思います。本年度限りの前提があるので、新たに枠を増やしたりするようなシステム改修は、基本的にされていないのかなという感じです。
控除されている金額が(自分+扶養に入れている人数)×1万円であれば、たいてい正解です。もちろん細かい話はたくさんあるので、絶対正解とは限りませんが、今回は触れません。
今回の月々の通知書でちょっとややこしいかもと思うのが、令和6年度の住民税額が「均等割額」のみになった方の控除月の違いです。定額減税を適用しないで均等割額のみの方は6月に控除、定額減税を適用したうえで均等割額のみになった方は7月に控除するということで、同じ市町村&均等割額のみなのに、6月に控除する従業員と7月に控除する従業員が混在するというのが見た目の混乱を招きますね。
本当に妙な制度ですが、市区町村の住民税担当者&会社の給与担当者が頑張って計算した結果として「6月の手取りが増えて嬉しいな」と思ってくださる方が多ければ、少しは報われるのかなと思います。
ちなみに、今年度においても各人別通知書がフルオープン方式の市町村は残っています。そこはいつ封入方式になるのかなと毎年度眺めていますが、市町村も予算と入札受注の多少の形骸化がありますので、すぐには難しい市町村もあるのでしょうね。
という蛇足の話で、今日は〆。
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